脳・心臓疾患の労災認定基準が改正

脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。
主なポイントは次の通り。
 
1 長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
 
・改正前は、発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について業務と発症との関係が強いと評価できるとしていました。
・改正後は、上記の時間に近い時間外労働を行った場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価できることを明確にしました。
 
2 長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し以下の項目を新たに追加しました。
 
・休日のない連続勤務、勤務間インターバルが短い勤務などの勤務時間の不規則性
・事業場外における移動を伴う業務
・心理的負荷を伴う業務
・身体的負荷を伴う業務
 
3.短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
 
・短期間の過重業務
発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合など
・異常な出来事
業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合など
 
4.対象疾病に「重篤な心不全」を新たに追加
 
 
なお、以下の点はこれまで通りです。
・「長期間の過重業務」、「短期間の過重業務」、「異常な出来事」により業務の過重性を評価すること
・「長時間の過重業務」について、発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること

「格差は不合理」日本郵便非正規訴訟 最高裁判決

令和2年10月15日、日本郵便の契約社員らが扶養手当や年末年始勤務手当、夏季冬季休暇、病気有給休暇などについて、正社員との待遇の格差是正を求めた訴訟で、最高裁判所が「格差は不合理」と認めるこれまでにない画期的な判断を示した。実務面での影響は必至で、企業は対応を迫られることになる。

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導 令和元年度 78.1%の事業場が法令違反

厚生労働省から「長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果」(32,981事業場に対して実施された労働基準監督署による監督指導の結果)が公表されました。

令和元年度は、78.1%の事業場で、労働基準法などの法令違反が認められました。

主な違反内容は以下の通り。
  ①違法な時間外労働があったもの:15,593事業場(47.3%)
   うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるものは、5,785事業場(37.1%)
  ②賃金不払残業があったもの:2,559事業場(7.8%)
  ③過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:6,419事業場(19.5%)